路地裏の民家は、百貨店顔負けのハチミツ専門店だった-百花恵 [観光立国日本?]
住宅街の路地でふと見かけた看板。「国産ハチミツ専門店」とうたう控えめなメッセージが何故か自分の好奇心を刺激してしまった。
徒歩1分とあるので路地裏の道に入ってみる。すると普通の民家にノボリが立っていた。これがその"専門店"なのだろうか?
お店のようでもあるが、他人の家に勝手に邪魔するようでもあり、中に入るのに勇気がいる。
それでも思い切って扉を開けてみると、店内には様々な花から採れた国産ハチミツがズラリ。
「これだけの種類はデパートにだってありませんよ。それぞれ香りや味が違うから試してごらんなさい」とご年配の店主がサンプルの試し舐めを勧めてくれる。
軽やかな味のもの、ちょっとスパイシーな香りのするもの、確かに、いろいろな味わいがあるものだ。
「これは近所の神社で採れたハチミツですよ」
なんと、都会の住宅街でもハチミツが採れるのか!!
でも銀座でハチミツ採ってるという話も聞いたとあるから、ここで採れてもおかしくはないが、神社に住み着いた蜂の採った"神のハチミツ"とは、恐れ入った。
「ただ神社のハチミツは奉納しちゃったので売り物にはないんです。お客さんには試食で楽しんでもらってます。」
ともかく、貴重なモノをいただいたというわけだ。
「趣味の延長でこんな店やってます。」と語る店主は、なにかとても幸せそうだ。
「そよご蜜」の小瓶をひとつ買って帰る。そして改めてこの小瓶一杯に蜜を満たすには、どのくらい蜂が働いたのだろうかと考えてしまった。
花一つから採れる蜜の量なんてわずかなはずだ。そしてその蜜を集めるハチたちの総労働時間はとてつもなく膨大になるはずだ。
そんなことを思うと、この小瓶一杯がとても貴重なものに思えてきた。
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