チベットに行ってきた [日本のなかにある異国空間]
GWはチベットに行ってきた、と言えたら風流なのだが、残念ながら今年のGWは残留組。
仕方がないので、東京・護国寺で催されたチベットフェスティバルに行ってきた。
境内に入るとチベット僧の説法やら民族音楽の演奏やら、とかくお祭り騒ぎになりやすいこの手のイベントにあって、たいへん厳かな色彩が強い。
主催がダライ・ラマ法王日本代表部(そんな組織が日本にあるのか!)であるという点が、観光局主催の多い他のデスティネーション・イベントとは一線を画しているのだろう。
飲食関連の出店もバター茶のブースと軽食のワゴン車が出ていたくらいである。
しかし、このイベントにおける展示物には圧倒された。特に砂曼荼羅の実演がすごい。
緻密で繊細な曼荼羅の絵を、僧侶が彩色した砂で描いているのだ。
その細い線を描くため、真鍮の管に砂を詰め、管をこすったわずかな振動で少しずつ繊細な絵を仕上げている。なんとも気の遠くなる話ではないか!!
(写真撮影禁止だったので、動画を拝借して貼り付けてみた。)
しかも「この絵は完成したら壊します」と学芸員さんがのたまう。
輪廻転生を説く仏教において万物は元に帰る。その教えから「砂曼荼羅」を描いて壊すという行為が生まれる。この行いは僧侶の修行なのだと言う。
こんなに美しく、手間ひまかけて創作したものを壊してしまうなんて何ともったいない!! と僕などは思ってしまうのだが、それは僕が物事に対する執着心の抜けきらない俗物であることを物語っているのだろう。
いやー、もうこんなスゴイ精神世界の一端に触れてしまうと、本物のチベットに行きたくなってしまうゾ。
で、やはり本場でこの光景を見られないのは、ちょっと悔しいなぁ。
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